こんにちは、ねりきりです。
もと夫も私も、離婚の原因は相手にあるとして損害賠償請求してました。
さてさて、裁判所の判断はいかに…
【離婚裁判体験談】判決文(1)もと夫の不貞行為が事実認定されましたの続きです。
家族や離婚体験談の人物紹介はこちらをどうぞ。
裁判の流れ
前記事の事実認定にもとづいて、裁判所が争点に対する判断を明らかにしていきます。
……が、書いててちょっとわかり辛いかなと思ったので、今さらですが裁判の流れをここで整理しておこうと思います。
裁判ってだらだら進行するので素人からすると、
今、いったい何やってんの? どれくらい進んでんの?
となりがちなんですよー。(私だけ?え?汗)
裁判の流れを簡単に書くとこうなります。
↓
②ぶつけ合った主張の中から、双方が認めていることと争っていることをより分ける(争点整理)
↓
③出された証拠を裁判所が吟味する(証拠調べ<証人尋問>)
↓
④証拠をもとに、裁判所が事実を認定する
↓
⑤事実認定したことを元に、裁判所が争点について判断する
ちなみに、これらをやる日の名称は以下の通りです。
③ ・・・口頭弁論期日
④⑤・・・判決言渡期日
(④⑤は判決文の中のことなので、やるというより言い渡される日ということで)
前回記事までが④の内容でした。
今回から書いていくのが⑤の内容です。
損害賠償請求について
夫婦の婚姻関係の破綻についてどちらに責任があって、損害賠償責任を負うか、裁判所が判断を明らかにします。
※原告をもと夫、被告を私と書き換えて、わかりやすくしています。
もと夫の私に対する損害賠償請求
もと夫の主張
婚姻関係が破綻した原因は以下の通りであり、私は不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
- 私がもと夫に関する家事を放棄したこと
- 私がもと夫の通勤カバンを切り刻んで損壊したこと
- 私が別居を強行したこと
- 私が子供たちに虚偽の事実を告げて家族関係を破壊し、もと夫の元から私の元に転居させたこと
裁判所の判断
別居の強行について
事実認定の通り、別居の原因は、夫婦間の家計の負担割合および通帳の開示・返還に関する一連の紛争を原因とするものと認められる。
私が一方的に離婚を申し出たとか、別居を強行したなどと認めることはできない。
したがって、もと夫と私の別居について、私のみに責任があると認めることはできない。
通勤カバンの損壊行為
私の行動(↑)はいささか度を越したものではあるものの、その原因は、もと夫が、私の特有財産を含む夫婦の通帳を開示・返還しないことに私が激昂したためであると認められ、私の動機には同情の余地がないではない。
カバンの価格は約7000円にすぎず、かつ、もと夫の特有財産とは認められない。
私が物を破壊したのはこの件だけであり、これ以外には暴力行為も破壊行為もない。
もと夫は、その晩、自宅を出て外泊しているが、私の暴力行為に対する恐怖からというよりは、警察のアドバイスによるものであり、翌日には自宅に戻っている。
これらのことから、私が通勤カバンを損壊したことは、夫婦間でそれ以前から続く紛争の一場面であり、これを独立した不法行為と取り上げることは相当ではない。
もと夫は軽微なことで私を警察に訴え、「我こそは被害者だ」と主張しました。
裁判中は、私がもと夫の通勤カバンを「切り刻んだ」、ハサミを持って暴れたなどとウソの主張を重ねましたが、取り寄せた警察資料にそんな記載があるはずもなく、証拠品のカバンはなぜか処分済…。
裁判所がこんな怪しいお話を認めるはずがないのです。
ちなみに、もと夫に関する家事放棄(2,3日洗濯物をたたまなかっただけのことですけどね!怒)も紛争の一場面と判断されたようで、言及すらされていませんでした。
子供たちに虚偽の事実を告げて家族関係を破壊し、子供たちを転居させたとすることについて
当時の子らの年齢(長男16歳、長女14歳)を考えると、子らはいずれも年齢相応の判断能力を備えていたものと認められる。
子らの陳述書の内容もあわせ考えると、子らは子らなりに、家庭内の状況や、もと夫および私の監護環境、監護能力等を比較・検討した結果、私の元に転居したものと認めるのが相当である。
子ども達の年齢が高かったため、子どもたちの意思が全面的に認められました。
私が家族関係を破壊した結果、子どもたちが転居した、というもと夫の訴えは完全に退けられました。
私のもと夫に対する損害賠償請求
私の主張
婚姻関係が破綻した原因は以下の通りであり、もと夫は不法行為に基づく損害賠償責任を負う。
- もと夫の不貞行為
- もと夫が私から預金通帳等を取り上げて自ら家計管理を行い、私を精神的、経済的に虐待したこと
裁判所の判断
もと夫の不貞行為について
事実認定の通り、もと夫が過去に不貞行為におよんだのは事実である。
しかし、この不貞行為については、私が提示した謝罪のための行為(両親への告白、私の母への謝罪、坊主にする)を実行したことで、私の内心にはわだかまりが残ったものの、ひとまず解決したものと認められる。
よって、もと夫の不貞行為が婚姻関係破綻の原因と認めることはできない。
そもそももと夫の浮気が発覚したのは、離婚争議が始まる4年前のことなので時効でした。
裁判所の判断は妥当です。
もと夫から私への精神的・経済的虐待について
事実認定の通り、もと夫と私が夫婦の通帳の開示・返還について紛争を続けていたことが認められる。また、別居の直接の原因は、もと夫が私の特有財産を返還しなかったことである。
しかし、もと夫が家計を管理し通帳を保管することになったのは、もと夫と私の合意に基づくものである。
私が家計の負担割合の変更と通帳の返還を求めたのに対し、もと夫が応じなかったことには一応の根拠が認められるから、直ちにこれを精神的・経済的虐待と認めることはできない。
もと夫が家計管理・通帳保管することに私は確かに合意しましたが、だからといって生活費を少額しか渡さなかったり、通帳を隠したりする行為が認められていいはずがありません。
しかし、私はもと夫の経済的虐待が始まってからすぐに離婚を決意し、調停を申し立てました。
過去にもと夫の浮気があったからこそ決断が早く、結果的に経済的虐待の被害を最小限に抑えられたわけですが、それだけに私の訴えは根拠に乏しいものでした。
ただし、私がもっと長期に渡って経済的虐待を受け続け、被害が大きければ裁判所の判断は変わっていたかもしれません。
これから経済的DVやモラハラで裁判を行おうとしている方は、私の結果と同じになるとは限りません。
あきらめないでくださいね。
私の考え
どちらの損害賠償請求も認められませんでした。
ほぼ予想していた通りの結果で、裁判所は至極全うな判断をするんだな、と思いました。
証拠がないものは認めない。
合理的でないものはダメ。
一つのストーリーとして筋が通っていても、他の可能性もあると考えられるものはダメ。
巷でよく言われているように裁判は証拠が一番なんだな、と実感しました。
相手がモラハラ気質の人間の場合、一見筋の通った長々としたストーリーを組み立て、裁判官を煙に巻こうとしたりもします。
演技なのか、それとも自分で組み立てたウソを真実だと信じ込んでいるのか、と見まごうくらいです。
しかし裁判は証拠が全て。
相手のウソが事実と認定されることはありません。
どんなに口数が多くても、口が上手くてもダメなものはダメです。
ウソつきが報われることはないのです。