【財産分与】特有財産を立証する

Steve BuissinneによるPixabayからの画像 離婚
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こんにちは、ねりきりです。

前回に関連して、特有財産のお話です。

学資保険と子ども名義の預貯金、離婚でどうなる?
こんにちは、ねりきりです。 学資保険は子どものものでしょ。 だって子どもの学費のための保険な…

今回は、私が自分の特有財産を主張するにあたって、どんな証拠を用い、裁判所がどう判断したかを書いています。
同じような状況の方の参考になれば幸いです。

家族や離婚体験談の人物紹介はこちらをどうぞ。

人物紹介
こんにちは、ねりきりです。 当ブログに時々出てくる登場人物達のご紹介です。 家族 ねりきり 管理人 …
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財産分与の対象は共有財産

これまでも何度かお話ししていますが、財産分与の対象となるのは共有財産です。

ただし、婚姻前の預貯金や、個人が両親などから贈与されたり相続したものは特有財産になるため、財産分与の対象にはなりません
子どものお年玉や祝い金なども子の特有財産です。

しかし、原則として

夫婦が所有する財産は全て共有財産

なので、特有財産を主張する人は、それを立証しなければなりません。
一方、「夫婦が持ってるものは全て共有財産だ」と主張する人は何も立証する必要はありません
相手の主張に反論するだけでよいのです。

特有財産の立証は難しい

特有財産の立証は非常にハードルが高いです。

  • 原資が特有財産であること
  • それが結婚後の預貯金や生活費などと混同されていないこと

を証明することが必要です。

つまり、結婚前からの定期貯金を通帳に保管したまま塩漬けにしている、とかでないとほぼ不可能ってこと。
口座を移した場合はお金の流れを切れ目なく説明できなければなりません。

その点で口座振替で移動させてると、記録も残るし説明しやすいですね。

 

「出金したのと同額を、その日のうちに別の口座に入金した」なら、原資が同じと認められる可能性は高いです。

けれど、婚姻期間が長ければ長いほど、家や車の購入、子どもの進学、家族の病気など、お金が必要な局面がたくさんあります。
結婚するときに離婚する時のことを考える人なんていませんから、預貯金の取扱いなんて流動的にやってる人が大半ではないでしょうか。

なので、特有財産の立証は難しくなるんです。

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私の場合

父からの相続金は、もらったのが最近で、入出金の流れがはっきりしていたため、もと夫は私の特有財産であることをすぐに認めました。

なので、裁判で争った私の特有財産は以下のものです。

私が主張した特有財産

結婚前の預貯金

定期預金にして、家計簿上で分けて管理してました。

両親から結婚前に贈与されたゆうちょ銀行の貯金

結婚式直前、「これはもと夫くんには隠しておいて、いざというときに使いなさい」と渡されたもの。
一冊の通帳に、担保定額貯金普通貯金が入金されてました。
親の言いつけを守ってもと夫には隠してました。

持ち家購入時、両親から贈与された祝い金

現金で受け取ったものです。

子ども達名義の預貯金

子ども達の祝い金お年玉を預金したものです。

私の主張の根拠

家計簿

私は結婚前から20年以上、家計簿を付けてました。
預貯金の管理も細かくしてました。(ただし、人に見せるものではないので厳格ではありませんでした。利息とかいちいち記入してない…)

ただし、問題点があって。

家計簿は私がExcelで自作したもので、年ごとに一つのファイルとして保管してました。
これを早めにCD-ROMなどで保管しておけばよかったんですが。

別居後しばらくまでは、証拠の保全について私の意識が低かったせいで、それを怠ってしまい…。

別居後に購入した中古PCのEXCELが自宅のものよりバージョンが新しかったのが原因で、ファイルを開いて閉じるたびにうっかり更新されてしまい、半分くらいのファイルの更新日が新しくなってしまったんです。

もと夫は、それを根拠にこう主張しました。

家計簿は最近変更されている。信用できない

離婚争議が起こったあとに変更されたものは信頼性が落ちます
自分の財産を増やすために、意図的に修正を加えたと考えられなくもないからです。

自分のミスがもとで家計簿の証拠性を低くしてしまいました。泣
知識がなかったことを呪うしかありません。

銀行の入出金履歴

特有財産が入金されていた預貯金の履歴を取り寄せました。

都市銀行

銀行によって違いがあるかもしれませんが、古い履歴が必要であるほど、取り寄せにかなりの費用がかかりました

1年につきいくらとか、半年につきいくらとかお金を取られて、履歴がない時期の分まで徴収されます。
まとめるとそれが結構高額になります。

取り寄せてみるまで証拠になるものが含まれてるかどうかもわからないのに、きつい出費でした。
都市銀行って不便だな、と思いました

例:三井住友銀行|残高証明書・預金入出金取引証明の発行

ゆうちょ銀行

通常貯金は10年前のものまでしか取り寄せられません
離婚争議が起こったら、早めに取り寄せておくことをお勧めします。

定期性預金の履歴は郵便局の民営化前と民営化後で、履歴を保管している会社が異なります
20年以上前に作られた定額貯金の記録は残ってないかもと思いましたが、きちんと取り寄せられました。

窓口で聞いたり、郵送で申し込んだりと手間はかかりましたが、この記録がもとで、わずかながら私の特有財産が認められました。
ゆうちょ銀行に感謝です。

ゆうちょ銀行|保有個人データの開示等請求手続きについて

ネット銀行

銀行によると思いますが、私の取引銀行は簡単に取り寄せられましたし手数料も安かったです。

各銀行のカスタマーセンターに質問してくださいね。

両親がつけていたノート

お祝い金やお年玉をあげたり、お見舞いなどをもらったりした記録が細かくボールペンで書かれてました。(マメ…)

その中に、両親が子ども達にくれたお年玉や、自宅を購入したときにくれたお祝い金の記録もありました。

子ども達の陳述書

本人尋問の前に、裁判官に言われて書かされた陳述書です。(うちの子たちは当時、大学&高校生だったので調査官調査は行われず。その代り、陳述書の提出を求められました)

自分の通帳について、お年玉などを親に預けたときの状況を具体的に記述し、最後にこう結びました。

僕の貯金は自分で管理するので、早く返してください

今、わたしは通帳がなくてすごく困っています。
はやく返してください。

裁判所の判断

結婚前の預貯金

特有財産と認められませんでした。

預貯金は社内預金と定期貯金が半々くらいでした。

まず社内預金の記録がなく(自宅にあったはずですが、もと夫が提出してくれるわけがない…)、定期預金も何度か移し替えていたので。

厳格に同額を移動させ、履歴を保存し、ずうっとそのまま保管、とかしてたら認められたかもしれませんが…。
普通、離婚すると思ってないときにそんなことしませんものね。

元々望みは薄かったので、あきらめはつきました。

両親から結婚前に贈与されたゆうちょ銀行の貯金

一部認められました。

まず、私が結婚する前に親が作った口座に、親が入金したものであったことを支店番号と入出金履歴をもとに明らかにしました。

支店番号を見れば、口座がどの地域で作られたものかがわかります。
口座が作成され定額貯金が入金された日に、私は他府県に住んでいたことが明らかだったため、親の入金が認められたのでした。

参考:「ゆうちょ銀行〈旧郵便局〉」の銀行コード(金融機関コード)とSWIFTと支店一覧

担保定額貯金は、10年で自動的に解約となり同口座の普通預金に入金されます。
そのうちの一部を出金し、同額を同じ担保定額貯金にしていた、それだけが私の特有財産と認められました

そのほかの貯金は、ちょうどその当時、私の姉が亡くなり。
香典やら何やらで立替え払いに利用したりしていたため、落ち着いてから同額を元に戻しましたが、「生活費と混同されている」とのことで共有財産にされてしまいました。
とても悔しかったです。

ゆうちょ銀行をお使いでない方には何のこっちゃかわからない内容ですね。汗
とにかく、特有財産が認められるにはかなりややこしい説明が必要になる、ということです。

持ち家購入時、両親から贈与された祝い金

認められませんでした。

両親の贈与ノートの宛名は私のみであり、母親も「返してもらいなさい!」と怒ってましたが、「夫婦への祝い金と考えられる」とされました。
贈与した親の意向は全く考慮されませんでした。

また、手渡しでもらっていたこと、家計簿の記録は証拠性が低いということで、贈与の事実認定さえされませんでした。怒

子ども達名義の預貯金

子ども達の特有財産と認められました。

学資保険と子ども名義の預貯金、離婚でどうなる?
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もと夫の特有財産

ちなみに、もと夫も結婚したとき社内預金を持ってました(私の1/4くらいの額)。

だからでしょうか、

被告(私)の特有財産が認められるなら、自分のも認められるべきだ!

と何の根拠もなく主張してました。

しかし、もと夫は結婚したとき、ほぼ同額の車のローンも持っていたため、しばらく後で、それで繰上返済してもらってるんですよね。
家計簿にも記録が残ってます。(その方が本人的にもトクだったはずです)

お前も車に乗っただろう!

とすごまれましたが、もと夫が結婚前に買った車を私は運転したことがありませんでしたし、私が選んだ車でもありません。

それに車は耐久消費財なので、今や無価値です。(もちろん買い替えたので車自体残っていません)

つまり、もと夫には特有財産はありませんでした。

私の考え

とにかく特有財産の証明は難しいです。

家計簿をつけてきちんと管理していてもこうだったので、結婚後何十年も経ってる夫婦はほぼ不可能に近いんじゃないでしょうか。

贈与などは振り込みなどにして記録を残すこと、証拠の保全を万全にすることが大切だなあ、としみじみ思いました。

ただし、これはあくまでも厳格な証拠を求められる裁判の例です。

離婚協議調停で話し合いできるなら、証拠がなくてもお互い納得さえすれば決着をつけられます。
その方があとあと遺恨が残らないはず。

共働きの夫婦がそれぞれ生活費を出し合って、その他のお金を自分で管理している場合は、お互いにそれを特有財産とすることもあるようです。
それだと大分楽ですよね。

ただし、こちらは預金してるのに相手は浪費家、などという場合には、こちらの財産を狙われる可能性が高いかも。

その場合、どちらも譲歩できなければ裁判を覚悟する必要があるかも。
金額が少ないなら、いっそ譲った方が裁判になるよりお金がかからないかも。
これは相手の預貯金を狙う側にも同じことがいえますね。
色んな考え方ができます。

なんにせよ離婚の戦略はきちんと立てた方がよさそうです。

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