こんにちは、ねりきりです。
現在、小中学生向けの学習塾は一年で一番の繁忙期を迎えております。
中3生の受験直前講習と新中1生(現小6生)の入塾ラッシュ。
今まさにお子さんの塾選びのために情報収集されてる方も多いのではないでしょうか。
塾の代表格といえば集団指導塾と個別指導塾ですが。
集団塾はともかく個別指導塾の授業形態って具体的にどんなのか知らない方も多いのではないでしょうか。(←私は知りませんでしたw)
てことで、今回は個別指導塾での講師経験のあるねりきりが個別指導塾の授業についてご説明します。
個別指導塾とは
私たち親世代が子供の頃、塾といえば集団指導塾。
個別指導塾って聞いたことなかったですよね?
え、ありました!? …ジェネレーションギャップ?
私自身は集団指導塾のお世話になったことはあったけれど、個別指導塾は全く無縁でした。子ども達も利用してないし…。
集団指導塾の指導は学校のような集団授業形式です。
長所も短所も学校と近いかも?
通塾経験がない人でも想像はしやすいですよね。
一方、個別指導塾といえばこんなうたい文句で人気を集めています。
生徒に合わせた進度!
先生に質問しやすい!
私は家庭教師型の指導を塾形式にしたものかなというイメージでした。
家庭学習でポテチやいちごの能力に合わせてオーダーメイドでテキスト選びからやってきた経験から、同じ感じで生徒に教えられるかな…と思ってたんですけども。
実際、講師として個別指導塾に入ってみたら全然違ってました。
個別指導塾の指導形態
「個別指導」と聞いて私のように家庭教師のようなマンツーマン指導を想像しておられる方、きっと多いのではないでしょうか?
個別指導塾の授業は「個別」といっても厳密には先生と生徒マンツーマンの指導ではありません。(マンツーマンをうたっている場合は除く)
よく個別指導塾の看板やチラシに、1対1とか1対2とか書いていますが、あれの意味するところは一人の先生に対して生徒何人で授業をやるか、ということです。
つまりはこういうこと↓
②1対2 先生1人に対して生徒2人
③1対3 先生1人に対して生徒3人
個別指導塾の授業時間は7~80分くらいのところが多いと思います。
その授業時間を生徒何人で分け合うか、という考え方です。
①の場合は、マンツーマン指導になるので家庭教師に近い形態といえるかもしれません。
80分まるまる1人の講師に見てもらえるわけですから、内容は濃いものになりますね。
ただし、その分費用は高額になることが多いです。(家庭教師と違って、塾の場合は場所代や冷暖房費がかかるわけですから当然ですね)
②の場合、例えば授業が80分だったら先生に見てもらえるのは40分、③の場合は25分程度ということです。短いですよね。
それではこの80分間、生徒はどんな風に過ごすのでしょうか。
図解!個別指導塾の授業はこんな風に進みます
例えば1対2の授業の場合、こんな風に進んでいきます。(私が勤務した塾の場合。一応、全国展開している個別指導塾です)
①まずはトークタイム
びっくりするかもしれませんが(私はしましたw)、講師は生徒の肩の力を抜き良好な関係を持つためトークタイムを持つことが推奨されています。
学生アルバイトの恋バナは女子の食いつきがいいので塾を辞めさせないためにも良い、と聞いたこともあります。
学校の授業内容のことなどを話すのならまだしもですが…。
正直、親目線では「フザケンナ」と思いました。
②テキストの解説部分を説明。問題を解いてもらいます
③ ②の生徒が問題を解いている間にもう1人の生徒の席に移動。
あらかじめしてもらっておいた英語の単語テストだったり、前回の宿題をチェックして①と②と同じことをやります。
生徒はタテだったりヨコだったり、近くに座らせてます。
講師は2人の間を行き来して勉強を教えます。
④元の生徒の席に戻って、解き終わった問題をチェック。
間違えていたらその部分を解説。
正解だったら次の単元に進みます。
解説部分を説明し、また問題を解いてもらいます。
⑤その間にもう一人の席に移動。解いてもらった問題をチェック……
あとは時間いっぱいまで④と⑤の繰り返しです。
1対3の場合は、もう一人生徒が加わるわけです。
イメージが湧くでしょうか。
個別指導塾の講師って結構忙しいでしょ?
個別指導塾の問題点
講義時間が短い
決められた授業時間の中で1人の生徒に割ける時間が短いので、説明を詳しくしすぎると他の生徒にしわ寄せが来ます。
なので、私が勤めていた個別指導塾の塾長はこう言ってました。
説明は軽めにしてください
え……でも……それで生徒を理解させられますか?
生徒に説明でわからせるのは不可能です。やりながら理解してもらうんです
確かに子どもは実践して、それを繰り返しながら身につけていくものではありますが。
理解させる目的もない説明……
それって必要なの?
子どもの理解度に合わせて進度を調節するのは困難
生徒は学校の教科書に合わせた塾のテキストを使ってたりしますが、次の定期テストまでに範囲を必ず終わらせなくちゃいけません。
でないと保護者からクレームが来たりしますから。
そのためスケジュールが決まってるんです。
例えば英語だったら1日で少なくとも2単元は終わらせるように、とか。
予定通り進められなかったら、次回にその生徒を担当した講師にしわ寄せが行きます。
生徒がつまずいているところ、つまずきやすいところをじっくり時間をかけて理解を促したいと思っても、そこにこだわってるわけにはいかないんです。
講師は基本的にアルバイト
大手集団指導塾の講師は専門的に一つの科目を教えている正社員の講師であることが多いです。
非常勤の講師であったとしても専任なので、担当教科についての知識が豊富です。
アルバイト=質が悪い
というわけでは決してありません。本っ当に人それぞれです。
その場その場でわからない問題の解き方だけ教えてもらえればいい
塾に求めているのがそれだけなら個別指導塾で十分なのですが。
受験など先を見越しての指導を求めたい場合は学生アルバイトには荷が重いと思います。
また講師が同時に教えるのが同じ学年・同じ科目の生徒ならまだしも、全然別の学年・科目の生徒を受け持つことが多いです。
この状況で、生徒1人1人に合わせたオーダーメイド授業、生徒に合わせたカリキュラムが実現できるでしょうか?
テストが少ない
個別指導塾の場合、時間が限られているので小テストや単元別テストなどがやり辛いです。
講義時間内にテストするにしても、周りから他の講師の説明や話し声が聞こえるわけですし、学校や集団塾で生徒全員で受けるテストとは緊張感が異なります。
私は子どもの能力を向上させるためにはこまめにテストすること(学習したことが身に着いているか確認する仕分け作業)が不可欠だと思ってます。
そして家庭学習の欠点は緊張感のあるテストがなかなかできないことだと考えています。
なので、テストのない塾に通う意味はない…とまで思ってるんですよね。
となると、個別指導塾の存在意義ってあるのかなと思ってしまいます。
塾探しの際にはテストがどれくらいの頻度で行われるか?もぜひ検討項目に入れて、確認していただきたいと思います。
どんな子が個別指導塾に向いてるの?
成績が低迷している、能力が低い子どもには個別指導塾、と考える方が多いと思います。
しかし…。
逆です
能力が低い子が個別指導塾に行っても成績は上がりません。
実はこれ、私が勤めた個別指導塾の塾長が言ってたことなんですよ。
塾で子どもの成績なんて上がりません。成績が上がる子は元々頭がいいんです
だったらもう…………
塾いらなくね?
心の中でツッコんじゃいましたよ。
率直に言って、個別指導塾の仕組みで子どもの成績を上げるのは困難だと私も思っています。
個別指導塾の指導内容は家で問題集をさせるのと大差ありませんから。
問題集を解くだけで成績が上がる子はいます。
個別指導塾は、元々持ってる能力が高い子のサボり防止やスケジューラーとして利用するのであれば良いかもしれません。
成績が低迷している子どもの向上を目指すなら、家庭教師を選んだ方がよいと思います。
または、個別指導塾でも1対1で教えてもらえるところです。
能力の低い子どもは講師が隣にべったりついて、問題の読み方や解き方を逐一教える必要があります。
1対2や1対3の個別指導塾では指導しきれないんですよ…。
最後に
ここに書いたのは個別指導塾のほんの一例で、私個人の感想です。
塾によって教室によって、指導形態や方針は様々です。
学習塾の質は塾長の資質に負うところが本当に大きいので、講師の熱い情熱で実績を出してる個別指導塾もきっとあることと思います。
塾の進学実績、指導方針、口コミなどを調べてくださいね。
私が勤務してる塾の生徒がこんなことを言ってました。
個別指導塾に通ってる子で賢い子は一人もいない
実は私も同じ感覚を持ってました。
子ども達の友人で個別指導塾に通っていた子たちは軒並み偏差値下位の高校に進学したので…。
当地域にはレベルの高い個別指導塾がない、ということなんだろうと思います。
とりあえず現在、お子さんの成績向上を目指して個別指導塾への入塾を考えている方は、子ども1人で体験に行かせてその感想だけで決めてしまうのはやめてください。
講師によっては「トーク」で子どもの気を引いて勉強の指導はあまり……ということもあります。
選択する塾によってお子さんの未来が決まってしまうかもしれません。
せっかく費用をかけてお子さんを通わせるのだからよりよい塾を見つけてくださいね。