事故の修理費用を過剰請求されたけど裁判経験のおかげで解決できたお話(2)

PexelsによるPixabayからの画像 トラブル
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こんにちは、ねりきりです。

事故の修理費用を過剰請求されたけど裁判経験のおかげで解決できたお話(1)の続きです。

事故の修理費用を過剰請求されたけど裁判経験のおかげで解決できたお話(1)
こんにちは、ねりきりです。 タイトルが長くてすみませんw 実は私、この春、小さな事故(ドアパンチ)を起こしてしま…

保険会社は、あの手この手で身に覚えのないキズの修理費用を私に了承させようとしました。
彼らの交渉がどんなものだったか、私がどうやってそれに応じたか、どなたかの参考になれば幸いです。

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交渉の経過ー事故発生1ヶ月後~解決まで

保険会社って二言目には、

こちらがご迷惑をおかけしている立場でもありますので

と繰り返していましたが、マニュアルでもあるのでしょうか。
加害者の罪悪感につけこんで無理めな要求を通そうとしているのが透けて見えて、良い物言いではないよね、と思いました。

事故発生から1ヶ月目以降の経過は以下の通りです。

  • 事故30日後
    過剰修理の根拠とは《郵送》
    修理工場撮影の車の写真が到着しました
  • 事故60日後
    検証結果を送信しました《メール》
    サイドミラー本体の交換の根拠となったキズは私が付けたものではない、と伝えました
  • 事故95日後
    検証結果は無視されました《メール》
    「提示させていただいた修理内容で了承していただきたい」というメールが届きました
  • 事故100日後
    反論《メール》
    保険会社に反論しました
  • 事故115日後
    検証結果は無視されました2《電話》
    ここから事故担当者が変わり、若い女の子から中年男性になりました
  • 事故130日後
    新たなキズの出現《郵送》
    事故当時、私が付けたという新たなキズの写真が送付されてきました
  • 事故140日後
    ついに解決しました!《電話》
    保険会社が折れました!!

間隔が開いているように見えるかもしれませんが、時々保険会社からメールなどで「現在、確認中です」などの報告は来てました。

検証

事故発生30日後、サイドミラー本体についたキズの写真を受け取った私。
さっそく写真に基づいて検証してみることにしました。

写真の難点は、キズのある範囲の広さがわからないこと。(ごまかされがちなところかも?)
検証のためには計測が必要だと考え、メジャーを持って駐車場に向かいます。

まずは自分の車、つまり加害車両を確認。
警察の実況見分の際に確認したキズの周囲には、何の跡もないことを再確認しました。

次は知り合いの車、つまり被害車両です。
普段から駐車場に停められているので、折をみて確認することはいくらでも可能なんですよね。

サイドミラーはピカピカでした。だって、本体ごと取り換えたんだものね。
けれど形状は同じなので、前方・横側・後ろから角度を変えて写真撮影。
それぞれにメジャーを垂らして、キズがあったとされる範囲の広さがわかるようにします。

自宅に帰り、メジャーのサイズを基準に編集ソフトで写真を合成。
私の車に、該当箇所に対応するキズはないことがはっきりしました。

保険会社の対応

経過の詳細

事故60日後 検証結果を送信しました

保険会社からメールアドレスを教えてもらい、検証で撮影した複数の写真と編集した写真を送信しました。

その際、以下のような文章を付け加えました。


〇〇さんのサイドミラーを本体ごと交換する原因となったキズについて、以下のことを示す写真をお送りいたします。

  1. 当方の車両には該当するキズが見られないこと
  2. 被害車両と私の車両のドアの形状から、指摘されるキズをつけるのは不可能と考えられること
  3. 事故当時、私が撮影した写真には、私が付けたとは考えられないキズが見られること
  4. 事故当時、私が撮影した写真には見られないキズが、お送りいただいた写真に見られること
  5. 以上により、サイドミラー本体のキズは〇〇氏本人か第三者によって付けられた可能性が高いこと
  6. よって、修理内容が私の責任の範疇を超えていること

よろしくお願い申し上げます。

※3、4について
事故当時、警察の実況見分のときに私も被害車両のキズの写真を撮影してました。
それと保険会社から届いた写真を見比べるとこういうわけでした。なんなんでしょうかね…

事故95日後 検証結果は無視されました

かなりの期間があきまして、事故担当者から以下のような内容のメールが届きました。


保険会社の事故鑑定人と修理工場に確認しました。保険会社としては以下のようにお願いいたします。

◎事故鑑定人
事故報告・事故状況・損傷箇所(ドアミラー)は一致している。
工場からの見積もり内容としてドアミラー・ミラー本体の交換の請求があり、問題点(ドア本体の鈑金)がなかったので、問題なしと判断した。

◎修理工場
相手方と修理工場が損傷箇所を確認したとき、相手方から「ミラーカバーと本体部に損傷がある」と申し出を受けた
事故状況を鑑みて特段問題はないということでそのまま修理した。

◎今後の対応
こちらが相手方に迷惑をかけている立場でもあるので、相手方の意向に沿いながら、事故に関係ない箇所は排除した上で修理を進めた。
よって提示した内容を私に了承してほしい

事故100日後 保険会社に反論しました

いやいやいや、私が出した検証結果から、サイドミラー本体のキズは私がつけたものじゃないことは明らかでしょうに。
ごり押しする気?

というわけで、以下のように反論しました。


◎事故鑑定人の言い分について
私の車には修理工場がミラー交換の根拠としたキズに該当するキズはありません。
問題なしなわけがないと考えます。

◎修理工場の言い分について
私には、事故当日、警察官立ち合いの元確認したキズ以外の認識はありません
それ以外にキズがあり、そのために当初想定された以上の修理をするということであれば、当然こちらにも連絡があってしかるべきだと考えます。
こちらの了承もないまま過剰な修理をされた上、事後報告で修理代を請求とは、良識に欠ける行為だと考えざるをえません。
凸凹のあるドアミラーの複数箇所についたキズについて、まっすぐなドアがつけたキズであるとされることに関してなぜ「特段問題はない」のか、納得のいく説明をしてください

◎今後の対応について
「迷惑をかけている立場」であるから過剰な修理、過大な請求を見逃せということでしょうか?
迷惑をかけたら何をされても文句を言うな、黙って従え、といわれているようで非常に不快です。
到底、了承できません。納得のいくご説明をいただけますようよろしくお願いいたします。

事故115日後 検証結果は無視されました2

ここから担当者が若い女性から中年男性に代わりました。
対応し切れないと判断されちゃったのかな。ごめんなさい。

電話の内容は、前回メールの踏襲でした。
修理工場から提出された写真と私が提出した写真を照らし合わせて拡大・検証した結果、サイドミラー本体のキズは私がつけたもので間違いないので、見積りに了承してください、という内容でした。

それでは、そのキズが確実に私がつけたものである証拠を確認させていただけますか?納得できればお支払いさせていただきます

わかりました。
それでは、その内容を文書にして送付させていただきます

あのう、文書では確認できません。画像データをいただけますか?
裁判資料として通用するくらいの証拠をいただきたいのです

なるほど…。
拡大した写真なので印刷に出るか難しいですが、送らせていただきます

どんなものが送られてくるのか、興味津々で待ちました。

事故130日後 新たなキズの出現

保険会社から、サイドミラーの拡大コピーが郵送されてきました。

以前のものと同じく赤丸がいくつもついてますが、そこにキズは見られないし、何よりキズのある場所が違います…。

添付されてた文書にはこう書かれてました。(要約しています)


事故の車損傷整合性について報告します。

  • 今回の事故の調査方法は、修理工場から画像と見積もりを送ってもらう方法です。
  • 資料として現存している画像をパソコンで確認したところ、ドアミラー本体に目視では見落とすほどの擦過傷を確認しました。
  • 私と相手方の車が接触した際についたもでのあることは、付着色もあり明らかです。
  • 現存している資料にて、公的機関に提示できるものと思います。
保険会社からの手紙でわかったこと
  • 交通事故調査人は警察の事故資料や車の現物を確認せず、修理工場が提出した画像と見積もりのみで判断を下している
  • 事故でついたキズだと言われれば、事故状況とキズの箇所に大きな乖離がなければ細かい検討はせず、修理工場の言い分を認めている

今回のような小さな事故に限ってのことかもしれませんが。
事故調査は流れ作業で、費用は修理工場の言い分をそのまま認める形のようです。
修理工場もそれがわかっているから「これはホントに事故によるキズか」なんてことは考えず、アバウトに修理して請求している…のかも。

しかし、そんなの修理費用を支払う側からすればとても納得できるものではありませんよね。
そして裁判所はアバウトな証拠を認めない場所です。

もし裁判になれば勝てる…のでは?

事故140日後 ついに解決しました!

封書を受け取った10日後、男性担当者から電話がかかってきました。

まず、送られてきた写真では新たなキズとやらは確認できなかったので、画像データそのものをメールで送ってくださいとお願いしました。

そして、本題はここからです。
保険会社のあやふやな言い分を追求しました。

これまで私宛に送ってくださった資料はちゃんと保管されてますか?

もちろん保管しております。

それでは、今回送ってくださった資料と、前に送ってくださった資料に書かれているキズが違うものであるという認識は持っておられるのですね?

そうですね。前のものは違うとおっしゃっておられましたので…。

以前の写真にあったキズは私が付けたものではないと証明されたため、今回また新しいキズを探した…という意味に聞こえました。
しかしね、

それ主張の変遷といって裁判で信用されないやつですよ?

・・・

前のキズも今回のキズもサイドミラーの凸凹した部分にあります。
昨日、〇〇さんの車を確認してきましたが、私の車のドアは真っ直ぐなのでつけるのは不可能だと思います。
そもそも私の車には、該当するキズ跡がないのですが

確かに目視でキズ跡は確認できませんが、お互い黒の塗料ですし、軽く擦っただけの部分は確認し辛いのかなと…

私の車は黒ではありません。
そもそもキズ跡がないのに、その言い分が通用すると思われますか?

キズを拡大して詳しく見れば接触のところは出てくるのかな、と思います。
接触していてもおかしくないということで、判断がついてくるものなので…

保険会社と一般の認識の違いがよく表れている言葉です。
一般の人は「接触していてもおかしくない」=「接触した」とは思わないでしょう。
もちろん裁判でも通用しません。

「おかしくないという判断」ではなく「私がキズを付けたという立証」が必要なんです。
「推定無罪」といいますよね。「推定」で裁判官は判断しないですよ?
きちんとした「立証」をしてください

…まあ、車の付き合わせをするのが一番判断がつくんですけどね

そうですね。でも、立証責任は請求している側にありますから。
私は否定するだけでいいんですよ?

・・・

中年担当者は黙り込み…。
しばらく沈黙したあと、話を変えました。

ねりきりさんは、ミラーカバーのキズについては過失を認めてらっしゃるんですよね

そうですね

それでは…

ミラーカバーの交換分のみ支払ってください、と言われました。

  • ミラーカバーの代金 約3000円
  • 工賃 約1500円

消費税込みで約5000円
事故発生時に言われた金額です。もちろん異論なんてあるわけありませんでした。

勝った!

修理工場の振込口座を聞いて、即ネット銀行から支払いました。

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私の考え

  1. このキズを付けたのは加害者である。
  2. このキズは事故時についてもおかしくないキズである。だから加害者がつけたキズである。

二つの考え方があるとして、保険会社の考え方は②なんだなということがよくわかりました。
(軽微な事故の場合に限られるとは思いますが…)

保険会社にとってはそれが当然なので、細部を見れば見るほど私がつけたキズでないことは明白でも、「おかしくない」を貫き通そうとしたのでしょう。

しかし、裁判をかいくぐってきた身としては、裁判官の事実認定がいかに厳格なものか身に染みています。

こんなん通用するわけないわ

「いっそ裁判になってもいい」という気持ちで自信を持って交渉に臨み、正しい結果を得ることができました。

立証責任は修理費用を請求する側にある

ネットで保険会社の事故対応について調べたところ、私のように身に覚えのない修理で過剰請求されて泣き寝入りさせられた、という口コミ投稿をたくさん見かけました。

保険会社や修理工場が加害者側の罪悪感や無知をいいことに、過剰請求しているのだったら許せないな、と思いました。

私は事故相手が知り合いだったため証拠を集めやすかったのが幸いでしたが、車の大きさや形状は車種が違っても似ていることが多いので、過剰請求が疑われる場合は保険会社から資料を取り寄せて、検証されることをおススメします。

証拠品(交換した部品など)はすでに処分されている、とすれば困るのは請求している側です。
立証責任は修理代金を請求する側にあるのですから。(これ、加害者が証明しなければならないと勘違いされている方が多いと思います)

もちろんそんなことに時間をかけるくらいなら、保険会社から請求された通りに支払った方が良い、という考えもアリだと思います。

費用対効果を考えて対応を決めてくださいね。
(私はケチなので保険会社の言いなりになれなかったということですwww)

裁判経験者からのアドバイス

ネットの知恵袋などを見ると間違った知識が垂れ流されていたので、気になったことを書いておきます。
※ただし、裁判経験があるというだけで、私は法律の専門家ではないので認識に誤りがあるかもしれません。判断は自己責任でお願いします。

「裁判費用は高額だから、多少高くても請求通り支払った方が安いのではないか?」
裁判費用は決して高額ではありません。
弁護士費用が高額なのです。
弁護士に頼らず、自力で裁判をやる分には高額な費用はかかりません。

「相手の弁護士費用や裁判費用を含めて高額な支払いを求められる
そもそも弁護士は裁判に必須ではありません。雇いたい人が雇えばいい、雇いたくなければ雇わなくても特に問題はないのです。
弁護士費用や裁判費用を請求、はいわばポーズのようなものです。
必須でもないのに相手が雇った弁護士費用について、裁判所に支払いを命じられることはありません
裁判費用はたいがいの裁判では折半になるのが普通だと思いますが、少額なのでわざわざ請求されることはほとんどないように思います。

知恵袋などを見ると「被害者の気持ちを考えてみろ」「保険がきくんだからそれくらい払え」「その程度の請求ですんでむしろラッキーだと思え」という暴論が幅を利かせていました。

事故対応を終えてみると、その手の回答をしているのは修理工場に近い立場の人たちなのでは…と思ってしまいました。

もちろん誠実な仕事をされている修理工場の方が多いのだろうと推察しますが…。
そちら側からしても迷惑な話です。

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